上諏訪駅到着。宿で旅装を解き、街を練り歩く。
上諏訪温泉の街並みは、あまり更新されておらず、昭和感が色濃く残っている。
駅前の百貨店の感じなんて、まさにそう。エスカレーターの動く感じとか。なにか違う。
うまく説明できないけど。
さて、温泉、地酒、ストリップの温泉街における私的黄金スリーコード。
まずは、温泉。近くの公共温泉におもむく。入浴料250円。安い。昭和ブライス。
木製のロッカー、ドライヤーさえない最小限の設備。そして、お湯が激しく暑かった。
こじんまりとしたお風呂空間で、地元の絶倫おじいちゃんとワケあり旅人のコンビと談笑。
この二人、即席コンビなのに仲睦まじい。
さっそくいじられ、なんで京都から1人でこんなとこ来るん?!から、話が始まり、
昔話、下ネタで場に一輪の花が咲く。
素敵なコミュニケーションができた。幸先いい。
お次は地酒。
上諏訪駅から歩いてすぐ、5軒の酒蔵が密集している。
その内のひとつ、舞姫酒造。
まさに、この旅を象徴する名称。祝い酒として購入。
名前も素敵だけど、とても美味でした。
そもそも、上諏訪に興味を抱いたのは、京都の酒屋で、舞姫をジャケ買いしたのがきっかけ。
近くにスト小屋あるし!できすぎ!と一人でこころの内圧上げたのが懐かしい。
この関係はきっと偶然だけど、それが行動意欲のメーターを一気に上げたのは事実。
こういう感覚は大事にしたい。そう感じたならそれでいいんだと思う。
勘違いでも大いにけっこう。意味は後から別のところにやってくる。
とにかく、実現できて嬉しい。
他には真澄、横笛という銘柄の純米酒が心をうった。
米の甘みが丸くあって、優しくてソフトタッチ、地味だけど偏りがなくて、真ん中な感じに惹かれた。
優しくしてもらってる気がする。
きっと、自分の性格にもあっているんだと思う。
居酒屋で軽く飲み、いよいよストリップ小屋に潜入。
テケツで代金を払い入場。
開演まで時間があるので劇場を観察。奥の扉を開け、ステージに入る。
ザ昭和な感じ、時の作用によって色褪せ丸くなった淡い空間。
中央に突き出た舞台形状はストリップ特有のものだ。
でも劇場によって趣きはずいぶん異なる。面白い。
壁面には所属の踊り子さんのポスター、紹介記事がびっしりと貼り付けられている。
先ほどテケツでもぎってた方がお客さんと談笑しているので、私も加わる。
かつてないアットホーム感。この方が支配人さん。
所属の踊り子さんについて話す様子はまるで親のよう。情がある。
ストリップ界の重要人物らしく、もっと会話がしたかった。
他に従業員はおらず照明、アナウンスまで一人でやるので、
その間は踊り子さんがヘルプでテケツに入るようだ。
お客は私を含め4名。かつてない隣がすーすーする感じ。
一抹の不安を感じていると、照明が落ち開演となった。
踊り子さんは3名、
4ステージを回す。
いつも思うのだが、音楽ライブに慣れた僕にとって、ストリップはブッキングにジャンルの一貫性がない。
それがかつてないほど、逸脱していた。フォークのライブに行ったら、
メタルバンドが出てきたくらいの隔たり。ほんとに。
脳みその切り替えが遅い僕は、目眩がした。
本でしか読んだことがない昭和ストリップが合間に挟まってた。絶滅したと思ってた。
これほんと書きたいけど、ピンク指数高すぎて、書いていいのかわからないので、置いておきます。
でも、これがこの日のハイライト。
良いとか悪いとか超えて、衝撃を受けた。昭和を感じた。
追伸:
諏訪フランス座は2011/8末をもって閉館された。
長い長い歴史の終の時期に滑り込めてよかったと思う。
でも、もう一度くらい足を運びたかった。
あの時に、タッチショーをされていた踊り子さん。
あれから時間が過ぎたけど、なぜか色濃く心に残っている。
日常の思考と思考のスキマにふと去来したりする。
あれは楽しい時間だった。
でも、あの時は緊張が過ぎてリアルタイムに感じれなかった。
またどこかで巡り会いたいと願ってる。
ストリップ観劇歴1年未満。
劇場は毎年消えていくし、踊り子さんも引退されていく。
この時期のストリップの世界で起こることに関しては、機会を逸したら
次はないのかもしれない。
私はそういう時期にストリップの世界に入り込んだのかもしれない。
劇場のこと、香盤のことから、少しでも行きたい気持ちが
喚起されたのなら行ったほうがいい。
行くか行かないか迷うくらいだったら行こうと思う。
意味とかは後から考えればいいと思う。
ストリップは記録が難しい世界だと思うのでなおさらそう感じる。
自分の足で劇場に向かい、自分の感覚でつかまないと。
未来についてのほとんどは何も断言できないけど、
これについてはかなりの確率で後悔することは断言できるから。
逃せば一生会えない。